気管支喘息の原因
喘息の原因には様々な要因があり、以下のように分類されます。
体質の遺伝
アトピー素因がある場合や、気道の粘膜が過敏な体質が遺伝すると、一般の方よりも喘息の発症リスクが高まります。
アレルゲン

ほこり、ダニ、真菌、獣毛などのハウスダストや、花粉などがアレルゲンとなり、アレルギー反応として喘息を引き起こすことがあります。
それ以外の誘因
タバコの煙、薬剤、ストレス、風邪や感染症、過労、気圧の変化、排気ガス、光化学スモッグ、運動、特定の薬(例:アスピリン、β遮断薬、ヨード造影剤など)、飲酒などが挙げられます。これらの要因が引き金となり、喘息の症状が現れることがあります。
気管支喘息症状チェック
以下の項目のうち、1つでも当てはまる場合は、風邪以外の病気が関係している可能性があります。早めに呼吸器専門医を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
- 天候によって咳がひどくなる
- 夜間(深夜や寝入りばな)に咳が出る
- 明け方に咳が出て、咳で目が覚めることがある
- 冷たい空気に触れると咳が出る
- 会話中に咳が出る
- エアコンの風に反応して咳が出る
- 湯気が引き金となって咳が出る
- 咳が出ると止まらず、出ない時は全く出ない
- 階段の昇降や軽い運動で息切れがする
- 同世代の方と同じペースで歩くのが辛い
- 呼吸が「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音を立てる
気管支喘息の重症度
喘息の重症度は、軽症間欠型・軽症持続型・中等症持続型・重症持続型の4段階に分類されます。
これは、症状の頻度と強さによって判断されます。
- 軽症間欠型は、症状が毎週ではない程度で現れる状態です。
- 軽症持続型は、症状が毎週出るものの、毎日ではない状態を指します。
- 中等症持続型は、症状が毎日あるものの、日常生活には大きな支障がない状態です。
- 重症持続型は、毎日症状があり、日常生活に支障をきたしている状態を指します。
医師は、患者様一人ひとりの症状の出方や呼吸機能の検査結果〔ピークフロー(PEF)や一秒量(FEV1:最初の1秒間に吐き出した息の量)〕をもとに重症度を評価し、それに応じて薬の種類・処方量を提案します。
| 重症度 | 軽症間欠型 | 軽症持続型 | 中等症持続型 | 重症持続型 | |
| 喘息症状の特徴 | 症状の頻度 | 週1回未満 | 週1回以上(毎日ではない) | 毎日 | 毎日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 症状の強度 | 症状は軽度で短時間 | 月1回以上、生活や睡眠に支障をきたす | 週1回以上、生活や睡眠に支障しばしば増悪する | 日常生活に制限しばしば増悪 | |
| 夜間での症状 | 1ヶ月に2回未満 | 1ヶ月に2回以上 | 週1回以上 | しばしば | |
| PEF FEV1 |
%FEV1 %PEF |
80%以上 | 80%以上 | 60%以上かつ80%未満 | 60%未満 |
| 変動率 | 20%未満 | 20〜30% | 30%を超えている | 30%を超えている |
気管支喘息の検査
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
息を吸ったり吐いたりする動作を通じて、肺の容量や気道の狭窄の程度を調べる検査です。
アレルギー検査
血液を採取し、特定のアレルゲンと反応させることで、どの物質に対してアレルギー反応が起こりやすいかを調べます。特異的IgE抗体の有無を確認することで、原因となるアレルゲンの特定に役立ちます。
気管支喘息の治療
喘息の治療は、「日常的に行う予防的な治療」と「発作時に行う対症的な治療」に大別されます。
毎日行う治療
気道の炎症を抑えるために、ステロイドの吸入が治療の中心となります。これに加えて、気道を広げる気管支拡張薬や、咳や痰を抑える抗コリン薬などを、症状や重症度に応じて組み合わせて使用します。
発作が出た時に行う治療
日常的にステロイド吸入などの治療を行っていても、喘息発作が起こることがあります。その際には、通常の治療とは異なる発作に対する治療が必要となります。
短時間作⽤性β2刺激薬の吸入
速やかに気管支を広げて、呼吸を楽にする作用があります。通常は1回の吸入で十分な効果が得られますが、効果が不十分な場合には20分後に2回目を行います。
それでも呼吸困難が改善しない場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
ステロイド薬(点滴・内服)
吸入タイプではなく点滴や内服によって使用されるステロイド薬です。短時間作用性β2刺激薬の吸入と併せて用いられます。
百日咳と気管支喘息の違い
百日咳と気管支喘息は、いずれも咳が続く病気ですが、その原因や特徴には大きな違いがあります。百日咳は「百日咳菌」という細菌による感染症で、特に乳幼児に多く、発作的な咳と息を吸うときの「ヒュー」という音が特徴です。一方、気管支喘息はアレルギーやストレスなどが原因で気道が慢性的に炎症を起こし、繰り返す咳や喘鳴(ゼーゼー音)を伴います。百日咳は抗生物質による治療が可能ですが、気管支喘息は長期的なコントロールが必要です。咳が長引く場合、正確な診断と適切な治療を受けることが重要です。
東京都大気汚染医療費助成制度
大気汚染の影響を受けると推定される疾病にかかった方に対し、一定の要件を満たす場合に、東京都が医療費の一部を助成しています。
18歳以上の方の新規申請は、平成27年3月31日で終了しました。
(現在医療券をお持ちの方は更新できます。)
対象となる方
以下の条件をすべて満たす方が対象となります。
- 18歳未満の方
- 気管支喘息、慢性気管支炎、喘息性気管支炎、肺気腫のいずれかに罹患している方
- 東京都内に引き続き1年(3歳未満は6か月)以上住所を有する方
- 健康保険に加入している方
- 申請日以降喫煙しない方
助成の内容
認定された疾病について、医療券の有効期間内の治療に要した医療費のうち、医療保険適用後の自己負担額(入院時の食事療養標準負担額または生活療養標準負担額を除く)を助成します。
ただし、生年月日が平成9年4月1日以前の方は月額6,000円まで自己負担となります。