花粉症とは?
花粉症の原因となる植物には、スギ(1月~5月)、ヒノキ(1月~6月上旬)、カモガヤ(2月~11月)、ブタクサ(7月~10月)、ヨモギ(8月~11月)などがあります。当院では、「アレルギー体質検査(IgE抗体)」や「花粉症のアレルギー検査(複数のアレルゲンに対する抗体のセット測定)」を実施しており、これらの検査によって、患者様がどの種類のアレルギーを持っているか、また今後アレルギーを発症する可能性についても把握することができます。
花粉症の治療には、抗アレルギー剤やステロイド点鼻薬などを処方しておりますので、アレルギー性鼻炎でお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
花粉症の原因・メカニズム
花粉症は、植物の花粉が体内に入った際に免疫システムが過剰に反応することで起こるアレルギー性疾患です。本来なら無害である花粉を異物と認識し、体が排除しようとする結果、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみといった症状が現れます。原因となる代表的な花粉には、春のスギやヒノキ、初夏のイネ科植物、秋のブタクサやヨモギなどがあり、飛散時期によって症状の出やすさが異なります。遺伝的にアレルギー体質を持つ人は発症リスクが高く、生活環境や大気汚染、ストレスなども症状を悪化させる要因とされています。
花粉症の症状
鼻の症状
花粉症の代表的な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりです。サラサラとした透明な鼻水が長く続き、特に花粉の飛散が多い朝方や屋外で強く出るのが特徴です。
目の症状
目のかゆみ、充血、涙が止まらないなどの症状が出ます。コンタクトレンズ使用者では症状が悪化することもあります。
喉・皮膚の症状
鼻水が喉に流れ込む後鼻漏、咳、喉のかゆみが出ることがあります。人によっては顔や皮膚のかゆみ、湿疹を伴うこともあります。
全身症状
集中力の低下、倦怠感、不眠などが見られることがあり、日常生活や学業・仕事のパフォーマンスに影響を与える場合があります。
花粉症に似た疾患
通年性アレルギー性鼻炎
ダニ・ハウスダスト・ペットの毛などが原因で、一年中鼻炎症状が出ます。花粉症と違い、季節を問わず症状が続くのが特徴です。
副鼻腔炎(蓄膿症)
鼻づまりや鼻水に加え、黄色や緑色の膿のような鼻汁が出る場合は副鼻腔炎が疑われます。長引く咳や頭痛を伴うこともあります。
風邪(ウイルス感染)
くしゃみや鼻水は花粉症と似ていますが、発熱や喉の強い痛み、全身の倦怠感を伴う点が異なります。数日で改善することが多いのも特徴です。
アレルギー性結膜炎
花粉以外のアレルゲン(ハウスダスト、カビなど)で目のかゆみや充血が生じます。花粉症と区別がつきにくい場合があります。
血管運動性鼻炎
自律神経の乱れや温度差、刺激物などが原因で鼻づまりや鼻水が出る疾患です。花粉との関連がないため、時期を問わず症状が現れます。
花粉症の検査・診断
血液検査
患者様がアレルギー反応を起こす原因となるアレルゲンを検査します。当院では、総IgE定量検査と特異的IgE抗体検査(RAST検査、MAST検査)を実施しています。
総IgE定量検査ではアレルギーに関係するIgE抗体の量を調べることで、アレルギー体質の傾向を把握できます。さらに、特異的IgE抗体検査ではスギやヒノキなどの特定の花粉に対するIgE抗体があるかを調べることで、症状の原因となっているアレルゲンを特定することができます。
花粉症の治療
花粉症の治療は、花粉の飛散シーズンが始まる約2週間前から開始することで、シーズン中の症状の軽減が期待できるとされています。特にスギ花粉症の場合は、飛散時期が予測より早まる可能性もあるため、花粉の飛散が始まると推定される時期の約1か月前から抗ヒスタミン薬の内服などの治療を始めることをお勧めしています。抗ヒスタミン薬を事前に服用することで、ヒスタミンの分泌が抑えられ、症状の緩和に期待できます。
症状が強く鼻に現れる場合には点鼻薬を、目に現れる場合には点眼薬を併用することで、より高い治療効果が得られやすくなります。また、抗ヒスタミン薬による強い眠気や集中力の低下でお悩みの場合には、副作用の少ない薬や漢方薬の処方にも承っております。薬に関して不安や希望がある場合には、些細なことでも遠慮なく医師にご相談ください。
花粉症の症状緩和に役立つ
可能性のある食べ物・飲み物
花粉症は、花粉に対する体の免疫反応が過剰に働くことで、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状を引き起こします。
薬による治療と並行して、食事から体質を整えることも、症状をやわらげるための大切なサポートになります。
ここでは、花粉症の時期に摂取が推奨される食べ物・飲み物をわかりやすくまとめました。
花粉症の時期に摂取が推奨される食品・飲料一覧
| 成分・特徴 | 主な食べ物・飲み物 | 期待できる効果 |
| 乳酸菌・発酵食品 | ヨーグルト、納豆、味噌、チーズ | 腸内環境を整えることで免疫バランスを保ち、アレルギー反応の過剰を抑える可能性があります。 |
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| 水溶性食物繊維 | 海藻、きのこ、ごぼう、オートミール | 善玉菌を増やし、腸内環境を良好に保つことで、免疫の過敏反応を抑える働きが期待されます。 |
| ポリフェノール類 | 緑茶(カテキン)、甜茶、ルイボスティー、ブルーベリー | 抗酸化・抗炎症作用があり、ヒスタミンの分泌を抑えて鼻づまりやくしゃみの軽減に役立つ可能性があります。 |
| オメガ3脂肪酸 | サバ、イワシ、サンマなどの青魚、亜麻仁油 | 炎症の抑制や免疫調整に関与するとされ、継続的な摂取が推奨されます。 |
| ビタミン・ミネラル類 | 緑黄色野菜、柑橘類、きのこ類、ナッツ類 | 粘膜の健康維持を助け、外的刺激に強い体づくりをサポートします。特にビタミンCやDの摂取が推奨されます。 |
花粉症の季節におすすめの飲み物
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緑茶・甜茶:ポリフェノールを含み、抗アレルギー作用が期待されます。
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ルイボスティー:カフェインを含まず、抗酸化成分が炎症の緩和に寄与する可能性があります。
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ヨーグルトドリンク:腸活(腸内環境の改善)を通じて、免疫の過敏反応を抑える働きが期待されます。
※甘味料の多い清涼飲料水やアルコールは、血管を拡張させて症状を悪化させる場合がありますので注意しましょう。
花粉症シーズンに避けたい食品
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アルコール(特にワインやビール)
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高脂肪食・揚げ物のとりすぎ
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糖分の多いスイーツ・清涼飲料
これらは炎症反応を強めたり、腸内環境を乱したりする要因となります。花粉症の時期は控えめを心がけましょう。